画像クリックで切り替え(1:全体図 2:拡大 3:更に拡大・左半分 4:更に拡大・右半分 5:2019/02/19時点) →制作過程
Title 森の飢饉
Skit 森の猛者は言う、「お前を食う。」
森の賢者は言う、「私を食えば、後に食うものがなくなるぞ。」

絶望的な情勢とは裏腹に、月だけは意気揚々輝いていた。
Size P60号(W1303×H894mm)
Material 油性ペン、ジェッソ、木パネル
Duration 2018/10, 2019/01 - 2019/02, 2019/08
Reflect (2019/08に25時間分描き加えました。以下2019/02/19時点での記述です。)
自分の中で絶対的な存在であった「森の夜 〜Your Story〜」を超える作品を描きたいと思い制作した作品です。
登場人物や構図は敢えて近似させました。私の制作にかける意欲の根底にあるのが同作であることが理由ですが、比較するにも都合が良かった訳です。
十分に超えたと言えますが・・・今回はゼロから築き上げたものではないこと、作品に向き合う情熱や志は当時には適わないという但し書きは付けなければなりません。
森の夜 〜Your Story〜」は今後私の看板作品として掲げるにはクオリティに難があり上書きしたかったまでなので、茶番ではありますがそれで良いのです。

本作の舞台設定は同様に森の夜ですが、木々は枯れ、水も涸れ、土さえも痩せ細った森の中で唯一生き残った2匹の生物による武力と知力の攻防です。
その後のストーリー展開は前作同様に想像にお任せということで。

私はよく森林を訪れるのですが、伐採や環境悪化により年月の経過とともに以前にあった自然が失われていることがしばしばあります。
かつて生き物が賑わっていた森でも、木々は残っているのに生き物が見られなくなるようなこともあります。
そんな枯渇してしまった森でも、もしかしたら人目に付かないところで生命の営みが続けられているのかもしれない、そんな希望、想像から着想しました。

制作に費やした時間は制作過程の通り180時間ですが、それは実際に作品に手を加えた時間であり、
途中途中で参考になる資料を収集したり、作品をじっと眺めて描き進めていくイメージを形成する時間を含めれば、実質的にはそれの倍近い時間を費やしています。

様々な思惑を乗せて描いた作品ですが、当然、制作中に抱いていた全ての想い、感情は覚えていません。
この作品の中には何百万本もの線で構成されています。(概算で1秒に3本の線を描いているとしたら194万4千本)
線の1本1本を分解して見たとして、それは勢いで描き進めていた最中の1本に過ぎないかもしれません。
かたや、なんとか作品の中で生きてくれと想いを込めて慎重に描いた渾身の一本なのかもしれません。
自信を持って描いた線/半信半疑で描いた線/成功したと感じる線/失敗したと感じる線
もしかしたら、成功したと思っても後々失敗したと感じる線、あるいはその逆、もあるのかもしれません。
しかし全てこの作品の要素。

気取った言い方をしましたが、トータルで見て大きな失敗をしています。
2匹の登場人物を有する左上から右下にかけてのラインに比べ、左下から右上にかけてのラインのコントラストが薄く、全体のライティングに矛盾が生じてしまいました。
制作過程の[34][35]の間、最終仕上げの段階で詰めを誤りました。
右下の猛者が乗る倒木を色濃くしてしまったことで、それまで全体がぼんやりと成り立っていたものを崩してしまったと感じています。
左下から右上にかけてを描き加えれば修復可能ですが、公募展に応募するためのタイムリミットがきてしまいました。無念。
Note 2019/09 第104回二科展出展
月刊誌 美術の窓 No.434(2019/11)掲載
2020/04 現代日本の美術2020(美術の窓の年鑑)掲載