Title グリーンウォール
Skit 見渡す限りの緑に包まれて。
歩みを止めると、聞こえてくるのは川のせせらぎと鳥たちの声だけ。
こっから向こうまで、自分だけの空間。開放感でいっぱいだ。

時計を見ながら、先へ先へと進んだり。
誰もいないのを確認してから、歌を歌ってみたり。
Size F10号(W530×H455mm)
Material 油彩、キャンバス
Duration 2011/07 - 2012/07
Reflect 2011年夏、省エネ・エコをうたって、植物を育てて遮光する「グリーンカーテン」なるものが流行りましたが、それをもじったものです。
四方に草や木々がそびえ立つ「緑の壁」。
大自然の中で「開放的」と言いつつも、日々の生活の中から生まれる規律や羞恥心に囚われ、結局どこに居ても越えられない“壁”に囲まれている、という感覚がこの作品の裏にはあります。
実際、広い空間の中に1人で居たら不安にもなりますし。何が起こるかわからない自然であれば尚のことです。

この時期の作品に総じて言えることですが、コンセプトを切り離せば「表現」というより「再現」です。
これは実際に足を運んで見た、山の中の風景です。
再現と言っても景色をそのまま写生したわけではなく、自分にとって都合の良いように対象を並べ替えたり、在るものを削ったり、無いものを加えたりして描きました。
故に描き切れていないものだらけです。植物を1つ1つ見れば形になっていなかったり、奥行きや地面の隆起なども表せていません。
最も悔しいのは、森の美観でもある木漏れ日(とその影)を描けていない点です。
絵の具を置いてみても光は胡散臭く、影は汚れや物体のように見えてしまったので、そこはやむなく切り捨てました。
上手くいった点はと言えば、流れる川の“動き“でしょうか。

製作期間は丸々1年。毎日毎日描いていたわけではありませんが、毎月多少なり筆を乗せています。
制作に掛かった時間は結構なものですが、作品の出来は平々凡々としていますね。
それでもこの作品と向き合った中で得たものは多いですし、そういう欲目で見れば重厚感はなかなかのものだと思います。
Note 2012/11 出生地(実家)の町内作品展出展 ※タイトルは「赤城の森」に変更