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Title 一本の倒木
Skit 僕らの大切な木が倒れた。
受け入れがたい事態に呆然とした。

でも、失ったものを嘆くより、残ったものを大切にしていこうと思う。
そしてある日、根元から新たな息吹が芽生えた。

この先も、きっと大丈夫。
Size F10号(W455×H530mm)
Material 油性ボールペン、水彩絵具、ケント紙
Duration 2020/10
Reflect 東日本大震災から10年を迎える2021年3月に被災地である仙台市で行われる「紡ぐ者たち」という展示会に出展するために描いた作品です。
10年経っても未だに復興の過程にある被災地を、アートの力で応援しようという企画です。

人々の生活においてダメージを受け、人為的に立て直していかなければならないのはもちろんですが、自然界でも同様のことが起きているから共に頑張っていこうというメッセージ性のある作品にしたいと着想し、自然(ネズミ)が人間のような営みで再興していくファンタジー仕立てにしてみました。
失ってしまった大切なものを惜しむ気持ちももちろん大切ですが、新たな大切なものを構築していく前向きな気持ちが必要で、それを一本の木で表現するというのがコンセプトです。
根元に生える新芽は後付けで考えたものですが、それこそ人間と対比になる自然の作用であり、希望の象徴にもなると思い採用しました。

ファンタジーなのはあまり柄ではないので構想時はやや恥ずかしさがありましたが、設定を作り込んだこともあり制作にも身が入り、仕上がりともに是非とも自慢したい作品となりました。
構図的に4匹のネズミは細々としていますがそれぞれがハッキリと際立ち、何をしているのかも的確に伝わるように描けたように思います。
そしてファンタジーの中に入り混じる重みもうまく描写できたかと感じております。

普段は自然物ばかりを描いており建物のような幾何学形状は避けているので、ここが一番苦労しました。
直線を引いたり長さを測るために定規は用いずに感覚で描いたのですが、下書きの時点では問題ないと思ってもいざペン入れしてみると崩れていることに気付き、砂消しゴムで修正したりしてしまいました。

ちなみに制作期間は約10日間で、うち2日間(2日目、9日目)は山へ行って屋外で臨場感を持って制作しました。
Note 2021/03 紡ぐ者たち(仙台市)出展
月刊誌 美術の窓 No.451(2021/04)掲載
2021/06 個展「超自然散策」出展
Number [2]