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Title 森の夜にAt Night In A Forest
Skit 共存という道はないものか。
本当に争わなければならないほどの利害関係にあるのだろうか。
そして知力と腕力のこの争い、どちらに軍配が上がるのか。

一方が争いに懐疑しても、もう一方が臨戦態勢ならば争いは不可避。
この世に巻き起こる争いは、そんな風に望まざるものばかりだろう。
Size F25号(W803×H606mm)
Material 油彩、木パネル
Duration 2021/02
Reflect 私が本格的に絵を描く活動をするきっかけとなった「森の夜 〜Your Story〜」(2010-2011)というペン画作品を10年経った今、改めて制作しようと取り掛かったリメイク作品です。
と言っても「森の飢饉」(2019)、「森の飢饉(No.2)」(2020)という近似作品も描いているので改まるほどの新鮮味はないのですが、今回初めて着彩での制作をしてみました。
タイトルを「森の夜に」と微妙に変更したことで新作の扱いとしています。
これまでとの大きな変更点としては、構図を左右反転したこと(深い意図はありませんが、一新したいということで)、洞窟から出る松明を持ったキャラクターを類人猿にしたこと(爬虫類より知能が高い)、川の流れがあること(「森の飢饉」との対比で、このシーンには自然の潤いがあること)が挙げられます。

これまで制作して培ってきた全てを発揮できたと思います。
油彩での経験はもちろん、デッサン(ペン画)で鍛えてきたディテールの描き込み、画面構成の要領等々。
これを1ヶ月足らずで仕上げられたことはかなり大きな収穫と言えるでしょう。
とはいえ、無茶を承知で挑み、描き進めながらアドリブでモチーフを組み合わせていった10年前のようながむしゃら感はなく、今回はできるとわかっていて無難に遂行した感じも多分にあります。

仕上がりに関して難を挙げるなら、強めの遠近感を用いているにも関わらず臨場感が薄いことでしょうか。
2匹の間に結構な物理的距離があるはずなのに、その中間に生い茂る草木があまり充実していないことが要因だと思われますが、逆光ということもあり、ここの描写が相当難しかったです。
整然とした森のような描写になっていますが、もっとジャングルのような鬱蒼とした感じを出したかった思いもあります。
左のキャラクターより手前の位置に大きく植物を描けばよかったのでしょうけど、そのように大胆に画面を改変する勇気が出せませんでした。
今の私の最大限を出せた作品ではありますが、まだまだ課題も多いですね。
Note 2021/06 第77回現展出展
月刊誌 美術の窓 No.453(2021/06)掲載
2021/06 個展「超自然散策」出展
月刊誌 美術の窓 No.455(2021/08)掲載
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