Title | 森の賢者 |
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Skit | されど、彼奴から逃れても私の精根は長らえることができん。 私が生きるには彼奴を食わねばいかん。 食うか食われるか、二つに一つだが、 他に生き抜く手立てがないならば、賭ける他なかろう。 しかし、彼奴が生き延びるべきか、私が生き延びるべきか。 彼奴が私を食うても、此処いらを彷徨い、次の満月には飢えて死ぬだろう。 しかし私が彼奴を食えば、ひとまず此処を離れて次なる食糧にありつき、必ずやこの地に新たな生命を宿すことができるはずだ。 すまんが、彼奴にはその犠牲になってもらわねばならん。 彼奴がやって参ったようだ。 さあ、ゆこうぞ。 |
Size | A2(W594×H420mm) |
Material | 鉛筆、画用紙 |
Duration | 2019/07 |
Reflect | ペン画「森の飢饉」のスピンオフ作品で、その5秒前の状況をイメージして描きました。 「森の飢饉」では森の賢者の描写が小さくディテールを描くことができなかったため、そちらにスポットを当てることにしました。 皮膚は爬虫類のようにウロコで覆われていますが、それ以外の特徴は哺乳類なので一応哺乳類の設定です。 (アルマジロやセンザンコウのようなウロコを有した哺乳類も実際にいるので。) 老齢の設定なのですが、ウロコにしたことで皮膚のたるみやシワが目立たなくなってしまい、表現しきれなかった感があります。 火を起こすことができるだけの知恵があるということは明らかです。 火を用いて外敵から身を守ったり、調理したり、暖を取ったりしていたのでしょう。 鹿の頭蓋骨については含みを持たせていますが、この賢者が捕食したものなのか、飢餓で命を落としてしまった仲間なのか、この洞窟にもともとあったものなのか、設定上で敢えて特定していません。 鉛筆だけで本腰を入れて描くのはかなり久々でした。 濃い色を出すのには物理的に強い力をいれなければならない感覚を忘れており、 それで注力するうちに他の箇所が擦れてぼやけたり、色落ちしたりと、苦戦しました。 真っ暗闇の中で一点の炎が灯っていたら実際は陰影のコントラストがもっと効いているべきなのですが、気力的な意味でこれが限界です。 しかしペンと比較すると修正ができるのはかなりの利点ですし、炎の表現もしやすかったです。 |
Note | — |