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Title One Tree Jungle
Skit 一本の木に幾多のドラマあり
一人の人間に幾多のドラマあり

姿形、仲間や居場所等々、素性を変えながら生涯を送り
やがて次の生命の礎となってゆく
Size F50号(W910×H1167mm)
Material アクリル絵具、油性ボールペン、ジェッソ、木パネル
Duration 2022/03 - 2022/04, 2022/09, 2023/02
Reflect これまでに手掛けてきた作品の技法やコンセプト、表現方法のあらゆる要素を注ぎ込むつもりで制作した作品です。
全体的な構造は「To Be Is To Do」に近いですが、木から水が溢れ出る「STUMPOOL」「樹洞滝」、複数の木から一本の木が成る「Mother Tree」、コンセプトは「思い出の木」と重なる部分があります。
これまでの成功体験を踏まえて、「こうすれば上手くいくだろう」と慢心しながら制作していたとも言えます。
よく言えば良いところ取りですが、悪く言えば新しいことは何もしていませんし、これまでの作品が踏み台となり価値を下げてしまうような気もしています。
持ち得るスキルを全て発揮できたと思いますし、概ねイメージ通りに仕上がりはしたのですが、
一方で仕上がってみて感じたのは、様々な要素を詰め込みすぎたことでそれぞれの要素が薄れてしまい、1枚の絵としてのインパクトも薄れてしまうということでした。

制作時間はペン画170時間、着彩35時間、制作中はミリ単位で気になることがあって、完成に近付けば近付くほど本当の完成から遠ざかっていくような感覚がありました。
恐らくここからいくら時間を費やしても見た目は10〜20%程度しか変わらないと思うのですが、完成と思えるまで仕上げなければならないという強迫観念があります。
制作期間の1ヶ月半、何をしていてもこの作品のことが頭から離れずにいて、1つの作品にここまで向き合ったのは初めてだと言えます。
だからこそ今はこの作品を客観的に見定めることができていません。
時間(期間)をかけて、これから完成と思えるところまで持っていければと思っています。

(以下2023/02/26の記述です。)
2022年3月〜4月で制作した作品でしたが、同年9月に15時間と2023年2月に20時間の描き加えを行いました。
初期のイメージでは樹上での動植物達の営みだけを表現する予定だったのですが、しばらく期間をおいてから、9月の個展出展前の残り2日間で何ができるかと考えた際に、樹下の水中を描きたいという欲求が高まりました。
全体のバランスが崩れるのではないかという懸念もありましたが思い切って水中を描いたところ、想像以上にしっくりときて、この作品に足りていないものが一気に補われたように感じられ、非常に有意義なものとなりました。

そして翌年2月、当初の制作時に感じていた「完成に近付けば近付くほど本当の完成から遠ざかっていくような感覚」の補完に向き合うことを決意し、再度樹上の描き込みを加えました。
結果、当初に思い描いていた完成形のビジョンは既に見えなくなって「このままでも別に悪くはないな」と思えるようになっておりましたが、それは決して悪いことではなく、客観性が加わったことで追加作業に必要なものと必要でないものを取捨選択できるようになっており、それでも尚足りてないと思う部分(枝葉の延長、彩色)や、もう少し遊べるなと思った部分(マレーバク、ムササビの追加)を描き加え、十分に完成と思えるところまで持っていくことができました。
Note